Illustration by ruder

小粋なファンタジージョーク(種族編)

自分で小粋っていうのもどうなのか。ファンタジー世界のジョークです。
人間……器用で標準的。しばしば間抜け。
エルフ……長生き。他の種族に対しては閉鎖的で、しばしば高慢で金持ち。
     ドワーフと仲が悪い。
ドワーフ……しばしば偏屈。豊かなひげ。酒飲み。
      ケチというのも、気前が良いというパターンもある。

人間「あのエルフはうそつきで、長生きだからっていつも適当なことを言うんです。
世界ができたときのことを、さも見てきたように語るんですよ!」
エルフ「確かに、彼のことは見かけませんでした」
語学の教科書。
共通語:トラップの矢が放たれて、彼の兜にぶつかりそうになった。
エルフ語:彼の胸にぶつかった。
ドワーフ語:ぶつからなかった。
またしても語学の教科書。
共通語:勝利を祝い、酒の備蓄の尽きるまで三日三晩の宴が続いた。
ドワーフ語:宴会は一晩中続いた。
「帰れ!よそ者!」とエルフ語で書かれた看板をみた人間。「あれは何と書いてありますか」と聞かれて曰く、案内役のエルフは「出口です」と。
とある人間「あれ(宝箱)はエルフのことばではなんといいますか」
とあるエルフ「(宝箱の隣に転がった残骸を見て)間抜けです」
Qドワーフが若返るのはどんなとき?
Aみんなで酒を飲んでいて、年上がおごることになったとき。
若い人間「好みのタイプは」
エルフ「年上」
異種族間同士でのにらみ合いが問題となっている今、スピーチ台に立ったエルフの定型的な言い回しにも難癖が付けられた。
人間「常命のみなさんという表現は、長命種族の傲慢ではありませんか?」
エルフ「なるほど、それもそうですね」
エルフはぐるりと辺りを見回すと、慎重にことばを言い換えた。
エルフ「"ご長寿のみなさん"」
「すみませんが、その席はエルフ族しか座れないんですよ」
「悪かったよ」差別的なエルフの車掌の難癖にも、ドワーフは意外なほど素直に席を立った。「優先席だとは知らなくて」
冒険の途中、頑固な門番に道をふさがれた二人組の冒険者。
門番「申し訳ないが、エルフ族以外は通すわけにはいかない」
冒険者「私は半分だけエルフなんです」
一人目がそれで通り、続いて二人目も言った。
冒険者2「私は三分の一だけエルフなんです」
人間とドワーフ、エルフの冒険者が、冒険の果てにダンジョンの最奥で悪魔と出会った。
悪魔は冒険者たちの残りの寿命と引き換えにさまざまなものを授けるという。
悪魔はエルフを見て言った。
「エルフよ。お前の寿命の半分を私に捧げるなら、世界の全ての知識をやろう」
「お断りだ。」エルフは言った。「お前に仕えるほど私の命は安くはない」
悪魔はやや落胆して、こんどはドワーフに言った。
「ドワーフよ。お前が寿命の残り半分はとうていエルフには及ばないが、寿命の残り半分を私に捧げるなら、刃こぼれすることはない最高の武器をやろう」
「お断りだ。」ドワーフは言った。「人生の残りの半分で、仲間と飲む酒の方が価値がある」
悪魔はかなり落胆して、最後に人間に問いかけた。
「人間よ。お前の寿命の半分を私に捧げるなら、20万ゴールドを年利1パーセントで貸してやろう」
おなじみの語学の教科書。
共通語:すみませんが、少しどいてくれませんか?
エルフ語:あなたは道をふさいでいます。
ドワーフ語:あっちに酒樽が落ちてました。
「すみません。あの棚の商品をとってもらえますか? 私では届かないんです」
「もちろん」
エルフの店員は、愛想良く店の奥から踏み台を持ってきて客の目の前に置いた。

(初出:2016年11月)