同じスタート地点 A とゴール地点 B を、3つの形のすべり台(直線・円弧・サイクロイド)で結びます。 重力だけでボールを転がすと、最短距離の直線ではなく サイクロイド が一番速くゴールします。
同時に転がしたら、どれが一番速く B に着く?
予想を選んでから、すべらせてみましょう。
ゴール B はドラッグ(タップ)で動かせます。どこに置いても、サイクロイドが一番速く着きます。
坂を転がるボールの速さは、スタートからどれだけ下に降りたか(落差)だけで決まります(摩擦を無視すると速さ = √(2g×落差))。だから「速く着く」には、早めにグッと下がってスピードを稼ぐのが有利です。
直線は距離は最短ですが、最初がゆるやかでなかなか加速しません。サイクロイドは出だしでほぼ真下に落ちて一気に加速するので、遠回りに見えても先にゴールします。これが 最速降下線(ブラキストクロネ) です。
B が元の位置のとき、所要時間はおよそ サイクロイド 3.14 < 円弧 3.22 < 直線 3.72(相対値)です。サイクロイドの時間が円周率に近い 3.14 になるのは偶然ではなく、半径1のサイクロイドでは所要時間がちょうど π√(r/g) になるためです。
B を右に遠く、浅い位置に動かすと、サイクロイドはいったん B より下まで潜ってから上ってきます。それでも一番速いのはサイクロイドです。
1696年にヨハン・ベルヌーイが「最速降下線問題」として提起し、当時の一流の数学者(ニュートン、ライプニッツ、ヤコブ・ベルヌーイら)が解いた有名な問題です。変分法という分野の出発点のひとつになった問題です。